Thermalright PS120 を買ったのでPA120と比較してみた話。PA120と無限五 rev.bとの比較など。
本当はFS140が欲しかったけどPS120がブラックフライデーのセールで安くなっていたのでこっちを購入。性能はどっちもほぼ同じらしい。更に言うとPA120とも性能はほぼ同じ。というわけで検証していく。
箱にはPA120のときはAGHP Gen3と書かれていたのがAGHP Gen4となっている。何が違うのかは知らん。PS120はPhantom Spiritの略。PS120SEもあるけどこっちはもっと無骨な感じでコストカットモデル。
PA120を買ったときのレビューはこちら。
まずは外観から。安っぽい箱だけど中はしっかりクッションが入っている。
よく見るとフィンが少し曲がっているけど問題なさそうなのでヨシ。
重さは約1.1kgと重量級。
ヒートパイプが非対称になっていることが分かる。取り付けたときに上にずれることでNVMeやPCIeと干渉しないようになっている。
付属品はこんな感じ。AMDの場合はマザーボード付属のメタルのバックプレートを使用。インテルはLGA1700対応で付属のバックプレートはメタル。SEの場合はプラスチックになるらしいが持っていないので不明。つまりAMDの場合はどっちでもいい。ファンを留めるクリップは2組だけなのでファンは2つまで取り付けられる。3つは無理。
ファンはこんな感じ。TL-C12B V2 RPMが2つ。PA120とスペック全く同じなんだけどV2になって何が変わったのかは分からない。使った感じは共鳴する回転数帯が少なくなっているけどこれはV2になったと言うより個体差に思う。
外観の話はここまでにして取り付けていく。ネジは上下交互に回さないと大変なことになるので気をつけること。
今回は奇跡的にスッポンなし。5箇所にグリスをつけるとこんな感じで広がっていたというわけ。真ん中に1点置くのもいいけどね。グリスはMX-4。迷ったらnoctuaの動画を参考にどうぞ。
同じように塗り直してPS120の取り付け。固定用パーツを取り付けるときに手が足りない場合はマスキングテープでバックプレートを固定するといい。取り付けるときも圧力が偏らないように交互にネジを回して取り付け。取り付けるときのネジは回りっぱなしではなくて途中で止まるので安心していい。
Define R6の場合はCPUクーラーからトップまで5cmほど隙間が開いている。
ファンを取り付けて完成。クリップはそんなに固くない。
GPUサポートステイもつけて少しCPUクーラーを支える。グラボに電源をつなげるのを忘れてたけど、完成。
ではCINEBENCH R23をつかってPS120とPA120とを比べていく。30分のテスト中に5分以上で飽和したところの間隔でファンの回転数100%、75%、50%と下げて3点の温度と回転数を記録した。
当初、無限五 rev.bを比較に含めないつもりだったが暖冬のため4月と室温がほぼ同じで4月と12月でPA120の結果がほぼ同じだったため採用することにした。細かいことは表にまとめているので比較して。
PCの設置環境はこんな感じ。前回はもう少し突き出していた気がするけど気にしない。ケースファンなどはDefine R6標準の構成でファンコンも標準のものを使っている。残念ながらケースファンの回転数はわからない。しっかり密閉したソリッドな環境なので音に敏感な人でも安心して結果を見て欲しい。
PCのスペックはこんな感じ。4月からHDDが減ったりNVMeが少し変わったけどCPUクーラーの温度に影響はなかった。
項目 | 変更後 | 変更前 |
---|---|---|
CPU | Ryzen 5900X 定格 TDP 105W | |
CPUクーラー | PS120 | PA120 |
ケース | Define R6 | |
ケースファン | Dynamic X2 GP14 x3 | |
メモリ | DDR4 32GBx2 | |
マザーボード | TUF GAMING B550-PLUS | |
グラボ | MSI GeForce RTX 3070 GAMING X TRIO | |
NVMe | Crucial P3 | Crucial P2 |
HDD | 2台 | 3台 |
電源 | Corsair RM750 |
というわけでさっそくグラフ。温度はTctl/Tdieから取得したもので50度以下だとCCD1から+10度になるよう設定されている。今回は関係ない。温度はPS120 < PA120 < 無限五 rev.bの順となった。各レビューをみたところPA120からPS120にしたときに2-3度は下がりそうと思っていたが想定通りの結果となった。嬉しい誤算だったのがPA120とくらべてPS120のほうがファンの共鳴音がする回転数帯が少ないことだった。騒音は体感で変わらなかった。音の目安としては800rpmを超えてくると音が聞こえてきて1200rpmからはうるさい。
以下に表にまとめておく。12月と4月で室温はあまり変わらなかった。結果もほぼ同じなのでグラフには12月のPA120の結果のみを載せている。30%のときの回転数はベンチマークを動かしていないためグラフには載せていない。
PS120 | PA120 | 無限五 rev.b | PA120 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
% | 日付,室温 | 2023/12/4 | 21.1 | 2023/12/4 | 21.2 | 4月26日 | 22.7 | 4月26日 | 21.5 |
30 | RPM,温度 | 514 | 590 | ||||||
50 | 826 | 68 | 904 | 71 | 720 | 81.6 | 890 | 70.4 | |
75 | 1167 | 64 | 1240 | 67 | 1000 | 77.6 | 1245 | 67.3 | |
100 | 1461 | 62.6 | 1500 | 65.1 | 1272 | 75.3 | 1500 | 65.9 |
普段使用するときのCPUクーラーのファンカーブはこんな感じとなった。75度までは42%。75-80度は55%、80-85度は76%、85度以上は100%と設定している。階段状にしているのは共鳴する回転数を飛ばすため。PS120はPA120と違ってあまり共鳴する回転数がないので直線でもいいけどね。
室温22度で5900Xを定格で動作させたときの温度を見て分かる通り少々のことでは75度を超えることはないので常に42%で回ることになる。ここでの42%とは712 RPMとなって動作音はほぼしない。
CPUクーラーを選ぶ基準はAMDならTDPの1.5倍以上、インテルはTDPの2倍以上に対応したCPUクーラーであればいい。今回使った5900Xの定格動作の場合はTDP 105WだけどPPT(Package Power Tracking)が142Wに設定されている。ただし、AMDの公式サイトでは簡易水冷クーラーを推奨しているので悪い例となる。PS120はTDP280Wまで対応しているのでファンを42%に設定したとしても理論上TDP 117Wまで対応しているのでエコモードやアイドル時は無音まで回転数を下げることができる。
今年の8月などは室温30度のときは当然75度を超える日があるけどそんなときはCPUクーラーのファンの回転数を上げてCPUを冷やしたとしても部屋が暑すぎて私が耐えられないしエアコンの効きが悪くなるのでエコモードで運用した。残念ながら簡易水冷クーラーでも部屋が暑くなるのはどーにもならない。
というわけでThermalright PS120のレビューでした。流行りのDeepcool AK620やnoctua NH-D15よりかなり安く、安すぎて価格ドットコムトップの虎徹3やAK400と変わらないくらい安い。その一方でこれより上の性能はDeepcool ASSASSIN III (IVではない)とNH-D15しかないので中途半端なものを買うくらいならPS120を買え。上記2つは14cmファンなのでPCケースに入らないこともあるけど12cmファンのPS120は157mmで収まっているのでだいたい入る。何より12cmファンは他の選択肢も多い。ただファンを交換したらコスパが悪くなるけどね。
PS120はAmazon発送で販売がドリス電子科学技術有限会社から買った。販売元がsuomoleも大丈夫らしいけど買ったこと無いので知らない。
PS120が売り切れや発送がAmazonではなく販売元もsuomoleやドリス電子科学技術有限会社以外の場合はFS140、PA120、PA120SE、PS120SE、FS120なども同価格で同性能なのでそっちを選んでもいいかも。
参考にした動画とリンク